【実際のところどうなの?】不動産投資の節税効果を徹底解説

不動産投資

不動産投資のメリットの1つとして「節税効果」があります。親の不動産を引き継いだ場合や、会社員として働きながらの場合、不動産投資を行うことで節税効果があり、税金を安く抑えることができると言われますが、実際のところどのぐらいの節税効果があるのでしょうか。

この記事では、不動産投資による節税について、なぜ節税できるのかという仕組みの部分から、実際にどのぐらい節税効果があるのかまでを解説したいと思います。

節税目的で不動産投資を始めていいのかどうか、会社員として働きながら本業で税金を納めている人は、本記事を参考に税金の仕組みなどをしっかりと理解しておくようにしましょう。

会社員の税金、納税の仕組み

会社員として働くうちは、基本的に源泉徴収という名目で、給与から税金が差し引かれて支給されることになります。会社はあなたに変わって税金を納めてくれるわけですが、給与やボーナスから所得税などの税金を自動的に差し引いた上で支給するわけですね。

実際に支給される金額がいわゆる「手取り」と呼ばれることになるので、税金などを含めた総支給額よりも手取り額を気にする人が多いと思います。中には手取りばかりをみていて、実際の総支給額がどのぐらいで、どのぐらい税金を引かれているのか、なんとなくは知っていたとしても、正確な金額はあまり気にしていない人も多いかもしれません。

会社員にとっての節税とは

会社員にとっての節税と言っても、できることは限られてきます。保険やふるさと納税などがそれに当たるわけですが、金額としてはさほど大きくないので、会社員として働くうちは節税にあまり興味を持たない人も多いかもしれません。

税金絡みとなると、年末調整を思い浮かべる人も多いかもしれません。12月に会社に用紙を記入して提出することで、払いすぎた税金が返ってくるわけですね。先にもお伝えしたとおり、会社員は毎月源泉徴収として事前に税金を払っていくことになるわけですが、そこで払いすぎた税金は年末になって返ってくることになります。会社員にとって、年の瀬に年末調整で返ってくるお金はちょっとしたボーナス、お小遣い的な感覚とも言えるかもしれません。

このように、会社員にとって節税の選択肢は決して多くないわけですが、不動産投資は場合によって、節税につながるケースがあります。

不動産投資が節税につながる仕組み

不動産投資がなぜ節税につながるのか。結論からお伝えしますと、不動産を所有することで、給与所得を減らして、支払う税金を少なくできるケースがあります。

まず所得ですが、以下のようにさまざまな種類の所得があります。

・不動産所得
・譲渡所得
・給与所得
・退職所得
・配当所得

他にも様々な種類の所得があり、それらを含めると全部で10種類の所得が存在します。

損益通算の仕組み

不動産投資がなぜ節税につながるのかというと、損益通算の仕組みがあるからです。不動産所得で生じた赤字がある場合、それを他の所得から差し引くことができます。所得を横断して損益を通算することで、会社員として得ている給与所得の金額を減らすことができるわけです。結果として、税金が安くなるという仕組みです。

会社員としての所得が600万円だったとしましょう。不動産投資で100万円の赤字があった場合は、損益通算により給与所得を600万円-100万円=500万円と圧縮することができます。

ただし給与所得に対する税金は源泉徴収として自動で支払っているため、実際は100万円の赤字を確定申告で申告することで最終的な税額が決まり、余分に支払っていたことになる税金分が還付されることになります。

そもそも「不動産所得」とは

給与所得から不動産所得を差し引くことができるため、不動産所得が赤字の場合には節税につながることをここまでお話ししてきました。そもそも不動産所得とは何が含まれるのかを正しく理解するために、ここで解説しておきたいと思います。

<不動産所得>
不動産収入-それにかかる経費=不動産所得

不動産収入の主なものは、毎月の賃料や共益費、契約時の礼金や更新料などがそれにあたります。経費とは、登記費用、不動産取得税などの他に、減価償却費、支払利息(建物)、管理委託費用、固定資産税、火災保険費用などがあります。

この中で不動産の取得時にかかるのが、登記費用や不動産取得税です。これらは大きな金額になりやすく、給与所得の圧縮につながります。ただし不動産取得時のみで、2年目以降はこうした経費は計上できなくなります。

「節税できる=赤字じゃないの?」という疑問

ここまで、不動産所有における赤字は損益通算で給与所得を圧縮できることをお伝えしました。「確かにそれって節税につながるかもしれないけど、そもそも不動産が赤字になるなら投資する意味がないのでは?」と思う人もいるかもしれません。

これについては、減価償却という考え方を正しく理解しておく必要があります。

赤字計上のための減価償却費とは

減価償却とは、購入した金額を使用期間で按分し、費用に計上する税務上の考え方のことを言います。不動産の取得については、建物本体と建物設備とがあるわけですが、これらは購入してから使用し続ける類のものになります。こうした費用は、不動産の取得時に一括で経費として計上するのではなく、使用年数で按分して費用を計上するのが減価償却の考え方になります。

減価償却の何がメリットになるのかというと、実際の収支上は黒字だったとしても、税務上は赤字にすることが可能になるからです。つまり、利益は出ているのに税金を支払わなくても良い状態を合法的に作ることができるようになるわけです。

不動産を取得する際には、多くの場合融資を利用すると思います。つまり、取得する際のお金は融資で賄っているため、自らで持ち出す必要はありません。お金を減らすことなく、経費として計上できるのが減価償却ということになります。

減価償却費は耐用年数で決まる

ただし、減価償却は法的耐用年数の使用期間でのみ計上することができます。建物本体であれば法定耐用年数は47年、建物設備は法定耐用年数15年と法律で定められているのです。この期間を過ぎると減価償却費はゼロになります。

減価償却を理解してうまく活用すると、不動産投資において物件数を増やせば増やすほど節税効果が大きくなるわけですが、一方で見落としてはいけない大事な視点があることも忘れてはいけません。

出口戦略も踏まえて広い視点で考えること

年数が経つということは、建物本体や建物設備の価値が減少しているということです。不動産の取得時には、売却という出口戦略を考える人も少ないと思います。その際に必要になるのは、譲渡所得地いう税金が発生することです。

立地や条件の良い物件を購入していれば、売却時もさほど値下がりしてないケースもあると思いますが、年数が経過して価値が下がってしまう場合は、売却によって得られる金額も減ることになります。加えて売却時の税金もかかります。

減価償却を活用する上で長期保有も大切ですが、不動産は保有するにしても売却するにしても必ず税金がかかってくることになるので、その上でどうすれば手残りが大きくなるか、広い視野で考えていくことが求められます。減価償却による節税については、必ずしも不動産投資のメリットとは言えないということも理解しておくと良いと思います。

結論:節税目的の不動産投資はオススメしない

ここまで「不動産投資=節税になる」ということを見てきましたが、実際のところどうなのか、どんな場合に節税になって、どんな場合に節税にならないのかを理解いただけかと思います。

特に、減価償却による節税については、長期的な視点では必ずしもメリットになり得ないことをご理解いただけたかと思います。最終的に支払うべき税金を先延ばしするだけ、とも言えるわけで、その点を正しく理解してない人もちらほら見かけます。

こうした税金の仕組みについては年々変わることもあるので、常に正しく理解しておくことも大切ですし、確定申告次第で納める税金は大きく変わってくることになります。だからこそ専門家に相談することも1つの方法です。しっかり利益を残し、無駄に税金を支払うことのように、知識を身につけるようにしましょう。