将来への資産形成の一環として不動産投資を始める人が増えていますが、中でも手頃な価格で変えるとして、中古マンションを購入する選択肢があります。
中古マンションは新築マンションと比較して半値以下で購入できる物件もあり、価格の安さの割に内装は綺麗に改装されているケースもあるなど、メリットをうまく活かしていきたい物件だと言えます。
ただし、中古マンションは様々なポイントに気を付けなければなりません。安いからという理由だけで購入してしまうと、購入後に後悔してしまうケースがあるからです。この記事では中古マンション購入の注意点に加えて、中古マンションを購入する際の流れなどをみていきたいと思います。中古マンション購入を検討される方はぜひ参考にしてみてください。
中古マンション購入時にチェックするべき6項目
中古マンションの購入を検討する際には、まず新築マンションの購入とは違うポイントを見ていく必要があります。ここでは、これだけは真っ先に見ておくべきという5つの項目をご紹介します。
1:どのぐらいの築年数の物件か
不動産は築年数の経過とともに、資産価値が下がります。中古マンションはまず築年数を見ることで、今後の資産価値の推移を予測することができます。なぜなら、マンションの資産価値は一般的に新築から約20年を目安に減少し、それ以降減少率は安定してくるからです。30年を経過した後は、資産価値はさほど変わらなくなります。
つまり、中古マンションの購入を検討する際には築20年以上の物件がおすすめだと言えます。なぜなら、購入して以降、資産価値の大きな下落が起きにくいからです。これは売却を見据えた物件購入を考える人であれば特に重要な視点といえます。
しかし1点注意点があります。それは築年数の古い物件は、融資期間が長く取れないケースがあるからです。中古マンション購入の難しさともいえますが、築年数などのリスクと、融資期間のリスクのバランスを見ながら、購入を検討することが重要です。
2:相場などから価格を比較する
マンション価格は、単純に表面に見える数字だけでは判断することができません。例えばリフォーム代が乗っているか、乗っていないかでも、高い・安いの判断は変わります。マンションの価格は表面的な数値だけでなく、こうした条件面を加味して判断するようにしましょう。
特に相場との比較は重要です。同エリア、同スペックの物件と比較してどうなのか、高い場合はなぜ高いのか、安い場合はなぜ安いのか、その理由も見極めるようにしましょう。相場より安い物件の中には「訳あり物件」なども含まれるため、なぜ安いのかその理由を把握することはとても重要です。
3:リフォームの必要性
中古マンションの多くはリフォーム済みの物件ですが、中にはリフォーム、リノベーションを行わず引き渡す物件もあります。
一方、自分でリフォームする場合、やり方次第でリフォーム代を抑えることもできますが、手配なども含めて色々手間がかかります。購入を検討する物件は、リフォーム前か後か、リフォーム前ならどんな状態かを確認するようにしましょう。
購入時にリフォーム済みか否かで物件価格が変わってくる(リフォーム済みの場合はリフォーム代が乗る)ので、そこを加味して物件価格を見るようにしましょう。
4:どんな住人が住んでいるのか
物件購入時は、物件そのものだけではなく、同じマンションにどんな人が住んでいるのかをチェックしておきましょう。なぜなら、購入したマンションが近隣住人とのトラブルが起きていた可能性もあるからです。
前の持ち主の売却理由がトラブルだったりする場合、入居者付けに苦労したり、クレーム対応などに追われてしまうようなケースも出てきます。最近だとインターネットでマンション情報、住人情報を検索することもできます。しっかりと情報収集をして備えるようにしましょう。
5:耐震基準について
築年数の古いマンションを購入する際には、耐震基準についてもしっかり確認する必要があります。具体的には、1981年施行の新耐震基準を満たす物件であることが重要です。それ以前の物件は、新耐震基準を満たしていないため耐震性に不安が残ります。
耐震基準を確認する際には、築年月を見ていくことになるわけですが、これはあくまでもマンションが完成した日を指すだけです。例えば完成が1982年だとしても、建築許可が下りているのが1981年以前であれば、新耐震基準を満たした物件ではありません。
6:購入を検討する物件の間取りで確認すること
中古マンションの購入を検討する際に、実際の物件の中を見てみたいと思っても、まだ住人が住んでいて中を見られないケースも出てきます。この場合、同マンションの空いている別の部屋で内覧を行うケースがあるわけですが、この際に注意したいのが「間取り」についてです。
同じマンションでも間取りが違うと、購入後のイメージの違いに後悔するケースがあります。別の部屋で確認する場合でも似たような間取りの部屋をみておくようにすると、購入後の後悔を防ぐことができます。
中古マンションを購入するための10ステップ
購入時の注意点を押さえた上で、ここからは実際に中古マンションを購入する際のステップを10項目に分けてみていきたいと思います。
ステップ1:資金計画を立てる
まず最初に行うべきことは、資金計画を立てることです。どんな物件が欲しいのかより、どんな物件を購入できるかを把握することが重要です。間違っても、欲しい物件を無理に購入して、その後の返済に追われてしまうような買い方は良くありません。
その際に重要なのが、購入時にどれだけのお金が必要になるかを正確に把握することです。マンション購入は、物件本体の価格に加えて様々な費用がかかります。
例えば購入時だと、以下のような費用が発生します。
・仲介手数料、消費税
不動産会社に支払う仲介手数料とそれにかかる消費税
手数料は(物件価格×3%)+6万円が限度額。(法律で決まっている)
・印紙税(売買契約書、ローン契約書)
印紙税は5万円以上の金銭または有価証券の受取書にかかる税金
・ローンの事務手数料
入時に組むローンに必要な手数料
・ローンの保証料
ローンの返済が不可能になった際に肩代わりしてもらう保証料
・火災保険料
所有する物件に火災が発生した場合、損失分を補填するための保険料
(ほとんどの物件において加入は必須)
・登録費用
物件登録の免許税、登録を依頼する司法書士の報酬
・固定資産税
不動産などの固定資産にかかる税金(標準税率は1.4%)
・都市計画税
都市計画区内の土地や建物にかかる税金(最大0.3%)
入居後には以下がかかります。
・不動産取得税
不動産を取得した際に支払う税金
以上のように、物件購入時には様々な諸費用が発生し、大きな金額となります。一般的には物件価格の10%程度が諸費用として必要になるため、購入する際の資金計画は物件価格+10%として考えていく必要があります。他にも、リフォームが必要ならその費用、購入後の管理費、修繕積立費などのマンション運営のためのランニングコストも用意しておく必要があります。
必要になる費用をまずはしっかりと把握した上で、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。その際には「キャッシュフロー表」を作成すると、今後のお金の流れ、将来的な見通しが見えやすくなります。
どんな物件を買うのかの前に、自分はどんな物件を購入できるのかを把握した上で、計画を立ていくようにしましょう。
ステップ2:購入する物件を探す
資金計画を立てることで、どんな物件を購入できるかを把握したら、具体的に購入するための物件を探していきます。中古マンションの物件探しは情報収集を行いながら、こまめに物件情報をチェックする必要があります。新築と違って、いつ空きが出るかわからないため、常にアンテナを張って情報に敏感になっておく必要があります。
そこでおすすめなのは、狙うエリアの不動産業者との関係性を築いておくことです。頻繁に通うことで関係性を作っておくと、情報を仕入れやすくなります。同時に、不動産会社の見極めもできるので、積極的にやっておきたいことの1つです。
物件探しで気をつけたい5つのポイント
中古マンション購入で意識したい6つの項目を先にお伝えしましたが、合わせて以下の5つの項目もみていく必要があります。
- 立地
- 周辺環境
- 治安
- ペット可など個別の物件の条件
- 都市計画道路、用途地域などの情報
いわゆるマンション探しの基本中の基本と言える項目ですが、特に気をつけたいのが、都市計画や用途地域などの地域ならではの情報です。都市計画道路や用途地域があるエリアは、近いうちに周辺環境が変わってしまうことがあります。エリアの将来性などもしっかりと確認しておく必要があります。
目星をつけた物件がリフォームが必要な場合は、このタイミングでリフォーム業者探しも進めていく必要があります。マンションの引き渡し前にリフォームを済ませておくことで、余計な出費を抑えることもできるため、早めに進めていくようにしましょう。
ステップ3:内覧
中古マンションを探しながら、良さそうな物件の目星が付いたら、実際に物件の中を確認します。中古マンションは物件ごとに状態が違うわけですから、しっかり確認する必要があります。
- 物件内部
- 周辺環境
- 管理組織や規約
- 外観と共有部分
こうしたところはしっかりチェックしておきましょう。特に共有部分などは、補修費用はマンションの住人で負担することも多く、必ずチェックしておきたいところです。
周辺環境については、ネットの情報だけでなく、自分の足を使って確認しておくことをお勧めします。時間帯によっても環境は変わることが多いので、朝の交通量や環境はどうなのか、夜はどうなのか、自分自身の目でしっかりみておくことで、購入後にギャップを感じずに済みます。
ステップ4:申し込み
内覧が済み物件の購入を決めたら、購入申し込みを行います。不動産会社に購入申込書を記入して提出します。購入申込書は、価格、引き渡し日などを記入したもので、価格については希望価格を記入することができます。ですので、値引き交渉などはこのタイミングで行われることになります。
値引き交渉といっても、一般的には端数の値引きを交渉するケースがほとんどです。1980万円の物件であれば、1900万円と書いて交渉するようなイメージです。その際には相場なども把握しておくと、適正な価格での交渉を行いやすくなります。もちろん無理な値引き交渉は印象を悪くしますので、相場などを踏まえて常識の範囲で行うようにしましょう。
ステップ5:ローンの事前審査
購入申し込みを行ったら、次に行うのはローン審査です。ローンを組む金融機関に借入の申請を行います。金融機関側は、あなたの返済能力などをみて融資の審査を行います。一般的な審査基準は以下の通りです。
・滞納などがないかの返済実績
・現在組んでいるローン状況
・雇用形態
・勤続年数
・勤務先の会社
・返済負担率
・ローン完済時の年齢
現在進行形で組んでいるローンや、過去の返済、滞納状況や今の会社での勤務年数など、返済可能かどうかを事前審査され、問題がなければ本審査へと進むことになります。審査基準は金融機関によって変わってくることがあるので、複数の金融機関に相談してみるのもありです。
ステップ6:重要事項説明
事前審査を通過したら、次に契約に関する重要事項の説明を受けます。この重要事項の説明に関しては、A4の書類で10枚以上に渡って説明されていることが多く、その場で確認するだけでなく、事前に取り寄せるなどして目を通しておくようにしましょう。
ステップ7:売買契約
重要事項説明が済んだら、次のステップは売買契約です。このステップをもって正式な契約が完了となります。契約時に必要なものは以下です。
- 仲介手数料
- 手付金
- 収入印紙
- 本人確認書類
- 印鑑
スムーズに契約を進めるために事前に準備しておきましょう。仲介手数料はこの段階では半額、または全額支払うことになるわけですが、売主によって変わります。また、事前審査に落ちた場合は返金されます。手付金は売主ごとに返金ルールが変わってきますので、事前に確認しておきましょう。
ステップ8:ローン本審査
事前審査後の本審査のステップです。金融機関が指定する保証会社の審査が入ります。本審査には以下の書類が必要になります。
金融機関関係で必要なもの
- ローン申込書
- 団体信用生命保険申込書兼告知書
物件関連で必要なもの
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 物件概要書
- 土地・建物の登記簿謄本
- 公図・物件案内地図
- 間取り図・測量図・配置図
収入関連で必要なもの
- 給与所得者:源泉徴収票、所得証明書、健康保険証
- 自営業者:納税証明書、確定申告書3期分
- 経営者:源泉徴収票、法人決算書3期分、健康保険証
その他必要なもの
- 本人確認書類
- 実印
- 銀行印
- 住民票
- 印鑑証明書
金銭消費賃貸契約
本審査通過後は、金銭消費賃貸契約を結ぶことで本契約となります。万が一審査に落ちた場合は再審査となります。事前審査後の本審査ですが、本審査で落ちることもあるので、正式にローンが通るまでは審査基準なども参考にしながら、落ちる要因を自ら作ることのないように、返済の滞納などは絶対にないように注意してください。
ステップ9:引き渡し
本審査に通り本契約が済めば、残金を支払い、その他必要な書類の提出をもって物件の引き渡しを行います。
残金として必要なものは以下です。
- ローンの事務手数料
- ローンの保証料
- 火災保険料
- 登録費用
- 固定資産税
- 都市計画税
- 仲介手数料の残金
提出書類は、
- 住民票
- 本人確認書類
- 印鑑証明書
などです。
必要な費用として、自己資金で用意するお金に関しては、この引き渡しのタイミングで清算するのが一般的です。最終の決裁は、売主、買主、金融機関担当者、不動産会社担当者、司法書士の5名立会の元に、書類の確認、署名、捺印を行います。これが全て済めば物件の鍵を受け取ります。これにて引き渡しまで完了となります。
ステップ10:登記申請
物件の引き渡しが済めば、いよいよ最後のステップ登記申請です。不動産登記申請は一般的に司法書士に依頼を行い、前のステップの残金決済日に司法書士が法務局へと登記申請します。
登記申請は申請後1、2週間かかるのが一般的です。申請後、不動産の権利書が手元に届くと手続き完了となります。これにて、不動産物件の購入が全て完了となります。
中古マンション購入の「目的別注意点」
中古マンションの購入時のポイントは、購入する目的によっても変わります。何のために購入するのかでどんな点に注意するのかも変わってくるため、目的別の注意点も記載しておきます。
注意点1:老後を見据えた購入
物件購入時には、共有部分などの設備面をしっかりチェックしておきましょう。バリアフリーへの対応や、階段、エレベータなどもチェックポイントです。また、老後を見据えた生活では周辺地域も重要です。
防犯対策なども重要なポイントと言えるので、セキュリティ面も注意してみておきましょう。
注意点2:仕事中心
物件の利便性を中心に、交通機関などのアクセス面も重要です。駅近の物件であることは仕事中心の人にとって重要なポイントと言えます。
仕事が忙しい人の場合は、マンションの管理業務などがある物件、負担の大きな物件も要検討かもしれません。
注意点3:子育て中心
小さなお子さんがいて子育て中心の人であれば、周辺環境が大切です。小学校、幼稚園などの学校関係のアクセスの良さは非常に重要です。
その他、買い物、病院、銀行など生活に必要な施設の充実も必須で、合わせて治安の良さなどもしっかりとみた上で考えていく必要があります。
注意点4:投資目的で買う場合
先にも述べたように、資産価値の下がりにくい物件であることが重要です。築20年以上の、大きく価値が下がりにくい物件をしっかりみていくようにしましょう。その他にも、周辺地域の良さ、立地の良さなども将来的な資産価値下落を抑えるポイントだと言えます。
もう1つ重要なのが、マンションの管理体制です。どのような管理を行うかでも資産価値は変わってくるので、専門家などの住宅診断を受けてみることも1つの方法です。
こんなトラブルに気をつけよう!中古マンショントラブル事例
中古マンション購入時のポイントをここまでお伝えしてきましたが、その上で、どんなトラブルが起こり得るのかといった事例を把握しておくことも大切です。最後に実際に起きたトラブル事例をいくつかご紹介しておきます。
トラブル事例1:修繕積立金の値上げ
駅近物件という好条件の中古マンションを購入した、ある女性の事例です。購入から1年後、マンションの積立修繕金の値上げ通達を受けることになりました。出ていくお金が増えてしまうことになるわけですが、重要事項にはその旨が記載されていたということで、ただ従うしかありませんでした。
トラブル事例2:想定外の固定資産税
中古マンションを購入した40代男性、固定資産税は多くのマンションでおおよその金額が同じだと考えていたそうです。固定資産税は土地の広さ、占有面積で決まるわけですが、購入したマンションは土地が広く、思ったよりも高額な固定資産税の請求がきて驚いたそうです。
トラブル事例3:近隣の環境の変化
ベランダから見える景色の良さで、あるマンションの購入を決めた60代男性。購入、入居までスムーズに進み、快適に暮らしていたそうですが、入居から1ヶ月ぐらい経ったある日、近くに21階建ての高層マンションが建つことに。高層マンションが建つことで、購入の決めてになった景色の良さは失われ、日当たりが悪くなることが判明。早めにわかれば購入しなかったのにと後悔することになったそうです。
このように、マンション購入は、購入時点ではわからない問題が後から出てくるケースも珍しくありません。不動産業者は売りたい一心で、こうしたネガティブな状況は聞かれない限り答えないこともあります。だからこそ、細かなことでも購入前に確認する意識が重要です。
購入後に後悔しないようにするためにも、目で見て、質問して、細かくチェックしておくようにしましょう。
中古マンション購入のチェックポイントのまとめ
この記事では、中古マンション購入時のチェックポイントをお話ししました。中古マンションは安く購入できる魅力がある反面、安さだけで決めてしまうと後々後悔することにもなりかねません。
最近では中古マンションにリノベーションを施し、新築のような綺麗な内装を施した物件も増えています。手頃な価格で綺麗な物件を買える魅力はあるわけですが、中古マンションは特有のトラブル事例があることもご紹介しました。
購入後に後悔することのないように、契約の内容や流れを理解し、中古物件はしっかり現状を把握した上で購入を検討するようにしましょう。